OculusTouchを使ったコンテンツを作成するにおいて、『Avatar Grab Sample』という非常に参考になるサンプルがあります。これはOculusの中の人ことmfmfさんが作ったサンプルです。
ただし、少々古いサンプルなので、Unity2017+OculusSDK1.16.0の環境において、いくつか修正しないといけない部分があります。この記事では、その修正とサンプルを使うところまで紹介します。
まず、『Avatar Grab Sample』を入手します。『Avatar Grab Sample』はOculusDevelopersフォーラムのこちらでダウンロードできます。
ダウンロードしたらzipファイルを解凍して、中にある「AvatarGrabSample」というUnityPackegeFileを実行して、Unityにインポートしてください。実行する先は、前の記事までで作成してきたプロジェクトにお願いします(Unity2017+OculusUtilities1.16.0-beta + Oculus Avator SDK1.16.0 + Oculus Platform SDK1.16.0の環境)。
インポートが完了すると、Assets内にSamplesというフォルダができているはずです。
このSample->Contentフォルダ内にAvatarWithGrabというUnityファイルがあるのでこれを開きます。これがサンプルシーンなのですが、エラーが出て実行できないはずです。なのでまずバグを修正します。
「Assets/OVR/Scripts/Util/OVRGrabber.cs(105,33): error CS1061: Type `OvrAvatarDriver' does not contain a definition for `GetCurrentPose' and no extension method `GetCurrentPose' of type `OvrAvatarDriver' could be found. Are you missing an assembly reference?」というエラーが発生しているはずです。
Unity2017+OculusSDK1.16.0環境下では、足りない定義があるのでそれを加えていきます。
Assets->OvrAvatar->Scriptsの中に、「OvrAvatarLocalDriver.cs」というスクリプトファイルがあるので、それを開きます。このスクリプト中の、40行目あたりに以下の定義一式を追加します。
public bool MyGetCurrentPose(out PoseFrame pose)
{
pose = new PoseFrame
{
voiceAmplitude = voiceAmplitude,
headPosition = UnityEngine.VR.InputTracking.GetLocalPosition(UnityEngine.VR.VRNode.CenterEye),
headRotation = UnityEngine.VR.InputTracking.GetLocalRotation(UnityEngine.VR.VRNode.CenterEye),
handLeftPosition = OVRInput.GetLocalControllerPosition(OVRInput.Controller.LTouch),
handLeftRotation = OVRInput.GetLocalControllerRotation(OVRInput.Controller.LTouch),
handRightPosition = OVRInput.GetLocalControllerPosition(OVRInput.Controller.RTouch),
handRightRotation = OVRInput.GetLocalControllerRotation(OVRInput.Controller.RTouch),
controllerLeftPose = GetControllerPose(OVRInput.Controller.LTouch),
controllerRightPose = GetControllerPose(OVRInput.Controller.RTouch),
};
return true;
}
次に、Assets->OVR->Scripts->Utilの中に「OVRGrabber.cs」というスクリプトファイルがあるので、それを開きます。このこのスクリプト中、105行目の
m_avatar.Driver.GetCurrentPose(out frame);
を削除して、
((OvrAvatarLocalDriver)m_avatar.Driver).MyGetCurrentPose(out frame);
に変更します。
「The referenced script on this Behaviour is missing!」という警告がいっぱい出ているはずです。これは、このサンプルが作られた当初といくつかSDK内のファイル名が違っているのが原因です。
Assets->OVR->Scripts->Utilの中に、「OVRGrabber.cs」と「OVRGrabbable.cs」いうスクリプトファイルがあります。このファイルの名前のOVRを削除して、それぞれ「Grabber.cs」と「Grabbable.cs」というファイル名に変更します。
■バグの修正(その3)
エラーメッセージは表示されなくなりましたが、まだモノを掴むことができません。これは「Grabber.cs」にAvatarオブジェクトが設定されていないせいです。
HierarchyビューのLocalAvatar->grabber_leftオブジェクトを選択して、Inspectorビューを見ます。Grabberスクリプト中にAvatarという欄がありますが、そこに何も設定されてないはずです。
なので、Assets->OvrAvatar->Content->Orefabの中に、LacalAvatar.prefabというファイルがあるので、これをそのAvatar欄にドラッグして設定します。同様にして、grabber_rightオブジェクトにもLacalAvatar.prefabを設定します。
これで『Avatar Grab Sample』を正常に実行することができるはずです。ただし、まだ「No Oculus Rift App ID has been provided.」というエラーが出ていて気持ちが悪いのでこれも修正しておきます。
「No Oculus Rift App ID has been provided.」を解決するためには、OculusAppIDを取得し、設定する必要があります。OculusDevelopersサイトのManageにアクセスしてください。このページの「Create New App」をクリックします。するとGearVRかOculusRiftかの選択肢が表示されるので、OculusRiftを選んでください。
次にアプリ名の入力画面が表示されるので、適当なアプリ名を入れて「Save and Continue」をクリックします。
次の画面に表示されるAppIDという欄の16桁の数字がOculusAppIDになります。これをコピーします。
Unityに戻って、ツールバー中の「OculusAvatars」をクリックします。Inspector画面にOculusRiftAppIDの入力欄が表示されるので、コピーしたIDをペーストします。
これでエラー表示はなくなるはずです。
『Avatar Grab Sample』を実行してみましょう。
テーブルの上に並んだブロックを手で掴むことができるはずです。掴んだブロックを放り投げたり、他のブロックに衝突させることもできます。
これはOculusTouchを使ったコンテンツを作るうえで非常に参考となるサンプルです。これをベースに様々なコンテンツを作ることができます。これをテンプレートプロジェクトとして保存しておくと良いでしょう。
次の記事では、この『Avatar Grab Sample』を参考に、OculusTouchでオブジェクトを掴む方法を説明していきます。
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